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関西医療大学 教員ブログ[鍼灸学科 東洋医療コース]

2012/03/02(金)

心に残る症例

木村研一 

 皆さん、こんにちは。鍼灸学科講師の木村です。これまで色々な病気の患者さんの鍼灸治療を担当してきましたが、その多くは肩こりや腰痛、膝の痛みなどでした。実際、鍼灸には痛みをとってあげる作用や、血流を良くしてあげる作用があることが知られています。しかし、近年、肩こりや腰や膝の痛み以外にうつ病、耳鳴りや顔面神経麻痺、不眠症といった多様な症状を訴える患者さんが増えてきているように思います。これらはいずれも身体や心のストレスが原因のひとつであり、高齢者に限らず、若い人でも起こることがあります。
 今回は数年前に治療を担当した顔面神経麻痺の女性について少し紹介したいと思います。顔面神経麻痺とは顔の筋肉を支配する顔面神経の麻痺によって障害された側(患側)の顔の筋肉が麻痺を起こす病気で、神経の圧迫やウイルスの感染によって起こるとされていますが、原因はよく分かっていません。この患者さんも最初に来院されたときは、顔面神経麻痺の典型的な症状を示していました。すなわち、患側の目は完全に閉じず、口角は下がっており、目からは涙が出ていました。顔面神経麻痺ではこうした顔の表情だけでなく、言葉を発したり、物をかんだりするという機能も障害されますので、日常生活にも当然、支障が出ます。女性の場合は特に顔を気にして人に会うのがおっくうになったり、外出をするのが嫌になったりということもあります。また、顔面神経には味覚を支配する神経も含まれるため味覚の異常が出る場合もあります。この患者さんも来院された時には、何とかこれらの症状を良くして欲しいと必死でした。幸い、発症して間もないこともあって、数回の鍼灸治療で麻痺は改善し、顔の表情の左右差はなくなり、目を閉じたり、しっかり物をかむことができるようになったりしました。患者さんはもちろんご家族の方も大変喜んでくれました。今回の顔面神経麻痺のような神経の病気に対しても鍼灸治療が有効となる場合があります。一方で、発症後の経過が長く、後遺症などが出てくると十分な効果はみられません。
 近年は鍼灸の科学化という観点から多くの研究がなされて、鍼灸の治療効果のメカニズムも少しずつですが解明されてきています。現在、私は大学院生と一緒に鍼灸が皮膚の血流をどのようにして改善するかという研究もしています。研究の結果、一酸化窒素という物質が大きく関わっていることが分かってきました。皆さんも病気に苦しむ患者さんのために是非、本学で鍼灸を学んで、鍼灸師になり、患者さんの痛みや様々な症状を楽にしてあげてください。また、何故、鍼灸が効くのかという謎について一緒に研究しましょう。

図(東洋医療、木村).jpg

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